

建替えをする前まで、私は現場の教諭として働いていました。園運営の全てを行っていた主人が突然亡くなってしまい、何も引き継ぎができないまま、私が運営を行うことになりました。
園舎は何回かの増築を繰り返しており、ある日登園すると、職員室には雨水が滝のように流れていて、もうどうすれば良いのか分からない状態でした。
建物のことなど何も分からず、銀行さんから他の設計士さんを紹介していただいたのですが、大きなお金がかかることに対して、本当にこれで良いのかと不安を抱える毎日でした。
ある時、茨城県の県産材を使った保育園舎の見学会のお知らせをいただき、参加してみました。そこでお会いした設計士の皆さんが、分かりやすく説明しようとしてくれる姿勢を見て、相談してみようと思いました。
私たちは建物のことについては素人で、何も分かりません。設計の打合せでは、きっと設計士の皆さんを困らせるようなことも言っていたと思います。
しかし、ヤモリさんは嫌な顔をせず、素人である私たちの要望を「こういうことですか?」「こんな感じにもできますよ!」と受け止めてくれたことを、よく覚えています。
旧園舎の配置を残しながら計画していただいたので、卒園児の思い出も残っているように感じます。
旧園舎で行った最後の夏祭りでは、園児や保護者の皆さんに、解体する園舎の思い出や新しく建てられる建物について、丁寧に分かりやすく説明してくれました。そのこともあり、みんなでつくった園舎という雰囲気があります。
私が朝一番に園舎へ入ると、ヒノキの香りがして、私だけの贅沢なひと時を過ごしています。きっと園児たちも、同じように感じていると思います。
外壁の色は、設計士さんと職員のみんなで考えました。完成後、隣地にお住まいの方から、ご自宅の外壁を私たちが選んだ外壁と同じ色にしたいという申し出がありました。
長く園を運営してきましたが、建替えを通して、以前よりも地域に根差した園になったように感じます。
私たちが本当に困っていて、何が何だか分からなかった時に、親身になって相談に乗ってくれました。
設計をしていただいた飯田さんと藤田さんのように、私たちの話をよく聞き、一つひとつ丁寧に説明してくれる方に依頼することが一番大切だと思います。